渡り人
私たちの環境は太陽との距離で決まっていると言えます。
近ければジリジリと焦がされるほど熱い。
遠ければ静寂の氷の世界に包まれる。
でも私達は地ベタに貼り付いて生きているようなものだ。 距離を変えようがない。 暑い日に太陽から離れようとして1m地下に穴を掘るだけでも大変な作業だ。 1mでは効果もないだろう。
飛行機に乗れば距離を変えられる。とんでもない発明だ。 コンピュータと携帯があれば仕事ができる人が増えていると思う。 皆が望めば快適な環境を求めて太陽との距離を変える人が増え、需要と供給の関係で飛行機代も安くなる。 渡り鳥ならぬ渡り人が増えると思う。
ひとつの地域に縛られる理由もないだろう。世界中の色々なことも体験できる。 素晴らしい生活だ。
ただ、近所のインドカレー屋さんのカレーが食べられなくなるのは嫌だな。
家の屋上から見える花火大会を見るのも楽しみだ。
子供の小学校が家から近いってのも便利だ。
……私は渡り人には向いてないな。
おとなしく地ベタに貼り付いて生きるか…